会長の誕生日 

<文章/満月 イラスト/桃っぽい> 




夏休みも終わりが近づいていたある日、私は自分の部屋で本と睨めっこをしていた。
今日だけで何時間も、更にその前に何日もかけて幾度も読み返したけれど、答えは出ない。
大きく溜息をついて、携帯の向こうにいる友達に問いかけた。

「ねー、何がいいと思う?」

「その質問、何回目だと思う?」

 電話の向こうから質問が返される。
呆れた声に、苦笑いをして謝った。

 海にプールにテーマパークに映画に買い物、それからお喋り。
まだまだやりたい事はいっぱいある。
終わらない宿題も悩みの種だったけれど、今の私は目前に迫ったイベントの事しか考えられなかった。

「草間くん、どんなプレゼントなら喜んでくれるかな。」

 年に一度の大事なイベント、誕生日。
しかも、自分の彼氏のとなると気合いも入る。
付き合ってから初めてお祝いしてあげるから、盛大にやってあげたいと思っていた。

 でも、現実は厳しい。
男の子が喜んでくれるプレゼントなんてわからないし、ケーキを焼こうにも彼以上に上手く作れる自信もない。
おまけに金欠で、理想のお祝いなんてとてもしてあげられそうになかった。
あんなに気を付けていたつもりなのに、どこで使っちゃったんだろう。

 ここ数日、何人かの友達に相談に乗ってもらったけれど、決めることはできなかった。
参考にと買った雑誌を見てもピンとこない。
結局今日も決められず、お礼を言って電話を切った。

「悩んでいるより、探しに行った方がいいよね。」

 外はまだまだ暑い時間だけど、お店はクーラーが効いて涼しいはず。
歩き回って色々見ているうちに、気分も少しは晴れるかもしれない。
ひとまず駅前のショッピング街に行ってみよう。

私は手にしていた本を放り投げ、部屋を出た。

そして、828日。
草間くんの誕生日はあっという間にやってきた。

いざ動き出せば意欲も湧くもので、張り切って準備ができた。
今日という日が本当に楽しみで、草間くんがどんな風に喜んでくれるのかと一人で考えてウキウキしていた。


していたはずなんだけど…。


「はぁ…。どうしよう、これ…。」

久しぶりに歩く学校の廊下で、私は立ち尽くしている。
始業式の準備のために生徒会の集まりがあるらしく、草間くんの用事が終わるのを待っていた。
約束の時間に余裕を持って来たものの、待てば待つほどに落ち着かなくなってくる。
いざ渡すと思うと、不安と緊張でいっぱいになってきた。

紙袋に入れたラッピングを見つめ、時間が過ぎるのを待つ。
しばらくすると、人通りの少ない廊下で足音が聞こえてきた。
近づいてくる程に、心臓が早鐘を打つ。そして私の隣で音が止まると、声がかけられた。

それは…。




綾川司

綾川竜士

相葉駿




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